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決して地味ではない!花形楽器にも勝るとも劣らない「ホルン」

あなたは「楽器」と言われて最初に思い浮かべるものは何ですか?ピアノ?ヴァイオリン?それともサックス?世界にはさまざまな楽器がありますが、この質問に「ホルン」と答える人は、残念ながらほぼいないでしょう。

そもそも「ホルン」ってどんな楽器?

一般的にクラシックの世界に足を踏み入れたことがない人に「ホルンって知ってる?」と聞くと、かなりの確率で首をかしげられます。でも「丸くてカタツムリみたいな形の楽器」と伝えると、「あぁ、なんとなく分かるかも…」との答え。中学校・高校とホルンに青春をささげてきた筆者からすると、このやりとりは慣れているものの、若干残念な気持ちになるのが正直なところ…。

ホルンの歴史は古く、もともとは動物の角などで作った「角笛」から始まったとされ、金管楽器の中では一番古いと言われています。現在では角笛のようなものではなく、細い管をぐるぐると巻いた複雑な形態になっており、多彩な音色を奏でることができます。ちなみに、この管、伸ばすとなんと4mもの長さがあるんですよ。歴史もあるし、音色も幅広く美しい。なのになぜこんなにもマイナーなのか…。

ちなみに吹奏楽部入部希望者の中でも、そのマイナーさゆえ、楽器決めの際に第一希望にホルンを上げる人はなかなかいないのが実情です。かくいう筆者も、恥ずかしながら入部の際は「ホルンってどんな楽器なの?聞いたことないな~」というありさまでした。しかし!一度ホルンの世界に踏み入れれば、「(マイナーかもしれないけど)オーケストラにおける花形楽器はホルンである」ということに気づくのです。

実はギネスにも認定されている楽器である

ホルンは金管楽器の中で一番難しい楽器としてギネスブックに認定されています。音域が4オクターブと幅広く、息を吹き込むマウスピースが最も小さいため、息を入れる角度や速度、唇の振動など、微妙なコントロールが求められるためです。時に柔らかい美しい音色を響かせ、時に力強くファンファーレを奏でる。変化に富んだ音色は、人をハッとさせ、感動を与えることができるのです。

オーケストラでは、そのやわらかな音色から管楽器と弦楽器をつなぐ接着剤のような役割を担います。和音を作る大切な役割もあるため、陰ながらオーケストラ全体の響きを支えているのもホルンなのです。当然ソロが回ってくることもあります。主旋律ではなくとも、美味しい副旋律が回ってくることも多数。まさに縁の下の力持ち、「花形」と言っても差し支えないくらいの活躍をしているんですよ。作曲家でもあるシューマンは、「ホルンはオーケストラの魂である」という名言も残しています。

4人でワンセット。チームプレーが大事

基本的に吹奏楽やオーケストラでは、高域担当の1番・3番パート(奏者)、低音域担当の2番・4番パートと、4つのパートが存在します。これは広い音域を4人で協力してカバーし合い、美しい和音を紡ぎだすためです。もちろんそれだけが理由ではありませんが、どのパートにもきちんと役割があり、どれが欠けても美しいハーモニーは生み出せません。

ホルンの魅力はやはり「音色&ハーモニー」。金管楽器をはじめ、木管楽器、弦楽器など、いろいろな楽器と音が溶け合い、アンサンブル楽器としても優れているのです。

意外と見せ場あり。あの名曲にも!

クラッシック曲など、オーケストラや吹奏楽の演奏をメロディー以外あまり意識して聞いたことがない人も多いかもしれませんが、CMで起用されている曲や誰もが口ずさめる有名な曲には、ホルンがしばしば登場しています。ホルストの「組曲‟惑星“より木星(ジュピター)」もそのひとつ。冒頭のホルンがとにかくカッコよく、癒されます。吹奏楽における「ウルトラセブンの歌」や「天空の城ラピュタ」の曲の中にも、見せ場となる部分があるんですよ。

もちろん、吹奏楽におけるマーチ(行進曲)では、ほぼリズム打ちしかなく出番がない、たまにメロディーが回ってきて、意気揚々と吹き上げてもベルが後ろを向いているから「聞こえない」と指揮者から一蹴されるなど、地味で残念なところも多々あるけれど、それはそれで愛すべき魅力。

メジャー級の認知度は決してないけれど、ホルンを吹いたことのある人なら、きっと「影の主役は自分だ!」と思っていることでしょう。ちなみに、最初に「ホルン奏者になりたい!」と思って始める人は少ないけれど、吹いているうちにその魅力にハマり、生涯ホルンを吹き続ける人は、圧倒的にほかの楽器よりも多いとか。

この記事であなたが少しでも「ホルン」に興味を持っていただけたなら、嬉しいです♪