今、なぜシャープペンシルなのか?
時代はスマートフォン、タブレット、そしてデジタルノート。
文字を書く行為そのものが減っているといわれる中で、
「シャープペンシルって、まだいるの?」という声も耳にします。
でも私は思うのです。
いえ、実感しています。シャープペンシルは「売る側の視点」で見ても面白い。
売場では毎年のように新商品が登場し、
文具系YouTuberたちは「最新シャーペンランキング」を競うように発信しています。
学生たちは「筆記具は戦力」と言わんばかりに真剣に選び、
大人の文具好きたちは、木軸シャーペンや製図用シャーペンに静かな愛を注いでいる。
こんなに語られる文房具が、ほかにあるでしょうか?
私が見てきた、シャープペンシル史
今回のテーマはシャープペンシル誕生史ではなく「とある新人文具店社員が見つめてきたシャープペンシル見聞録20年史」です。
売れるもの、売れないもの、企画倒れのモデル、信じられないヒット──
それぞれの製品に、売場でしか味わえないドラマがありました。
たとえば、握るだけでちょっと今も何故か嬉しいドクターグリップ。
予想外のヒットを生んだアルファゲル。
芯が回るという発想で市場を変えたクルトガ。
売れなかったスマッシュが、ある日を境に爆発的に売れ出したあの出来事。
それらを語っておきたいと思ったのです。
文房具というジャンルの中でも、シャープペンシルには
「進化」と「記憶」と「文化」が詰まっていると信じているからです。
記事予告(3回連載)
このnoteでは、私の目線で見てきたシャープペンシルの進化を3回にわけて綴ります。
📍 第1回:「グリップ革命」
ドクターグリップ、アルファゲル──
“握りやすさ”がキーワードになった時代の衝撃と、それが売場に与えた変化を振り返ります。
📍 第2回:「グリップ革命、その先に」
クルトガが登場し、“芯が回る”という革新が起こります。
そこから始まる、シャープペンの“機構戦国時代”と、
スマッシュや製図用シャーペンの再評価へと向かう大きな流れを見ていきます。
📍 第3回:「売れなかったスマッシュが、文具売場を変えた日」
かつては誰にも見向きされなかった製品が、ある日突然売れ出した。
その裏にあった出来事、現場の手応え、そしてブームの兆しを追体験します。
おわりに
“筆記具の進化”を語ることは、
ある意味で、“人がどうやって考え、表現してきたか”を語ることかもしれません。
もしあなたのそばに、お気に入りのシャープペンが1本でもあるなら──
きっとこの連載が、より深く楽しんでいただけると思います。
次回からの更新を、どうぞお楽しみに。