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男もハマる、羊毛フェルト

ある飲食店のレジ周りに、かわいい羊毛フェルトの動物たちがズラリ。ついつい見とれてしまうほど、見事な出来栄えだ。すると、レジを打つダンディなおじさまが「趣味でね、作っているんです。やってみると意外と面白いんですよ」と話しかけてきた。

???…(本当に!?)

一瞬、沈黙が走ったあと「え~!スゴイ!」心の底からの驚きと、称賛の声が自然と出た。繊細な毛並みが、愛おしさを1.5倍増しにさせている羊毛フェルトの動物たちを、このダンディなおじさまが作ったとは!

いや、待て。癒し系の手芸作品は(かわいい系)女子が作るものだと、勝手に決めつけてしまってはいけない。今の時代、男だの女だの、境界線を引くこと自体がナンセンスだ。それどころか、ふわふわした羊毛フェルトに大人の男性が夢中になる、という意外性は恋愛におけるギャップ萌えテクにも通じているようで、アリではないか!実際、そのギャップにやられ、おじさまの笑顔と共にお店の記憶が鮮明に刻まれたのだから。

そして、この出来事をきっかけに羊毛フェルト作りに興味を抱くようになった。が、日々の忙しさを言い訳に未だ手を出せずにいる。「やりたいことリスト100」には既に書き込み、あとは実効あるのみ。だがその前に、まずは下調べだ。

(そんな暇あるなら、作れるだろうが!と自分に突っ込みを入れつつも)羊毛フェルト作りは、長年、無趣味だった筆者でも出来るのか?あのダンディなおじさまのように、男の人でもハマってしまう魅力は何なのか?羊毛フェルトについて探ってみよう。

あれ?意外と気軽に始められる!

そもそも、羊毛フェルトって何をどうやって作っているのだろう?そう思い、検索してみると… 「ギザギザが付いている特殊な針(フェルティングニードル)で羊毛を刺していき、繊維を絡め、自分の好きな形をつくっていく手芸のひとつ」とあった。

なるほど、針で刺してあの動物たちの自然な毛並みを表現しているのか。しかも、「刺す」という単純作業だけで良いため、初心者や手芸が苦手という人でも問題ない、という嬉しいフレーズも!必要な道具や材料がセットになっていて便利な初心者向けのキットも多く販売されていて、気軽に始めることができることも分かった。これなら手芸は小学生のときの家庭科でしかやったことがない、という男の人でも手が出しやすそうだ。

無心になってプスプスすればストレスも解消!

羊毛フェルトを作るためには、やわらかい羊毛に針を刺し続けるという地味な作業が必要だ。だが、小難しいことが苦手で単純作業が好きな筆者にとっては、魅力的。実際、この一見地味に見える針を刺す作業は「やってみると時間も忘れるほど夢中になれる」とウケがいいそう。ひたすら刺す、刺す、刺す。黙々と刺し続けているうちに無心になり、不思議と落ち着いてリラックスしてくるのだとか。

肉体的な疲れは睡眠やマッサージなどで解消することもできるが、「メンタルの疲れ」の癒し方は、なかなか転がってはいない。「何もかも忘れ、無心になれる」と評判の羊毛フェルト作りは、ストレスを浄化させる時間となり、メンタルの疲れにも効果が期待できそうだ。

ストレス解消には仕事帰りに一杯というおっさん的な思考しか持っていなかった筆者だが、家に帰って、リラックスできる部屋着に着替え、何も考えることなくモノづくりに没頭するのもいいな~と、妄想は膨らむばかり。

失敗さえも、味になる。オリジナル感がたまらない

さらに羊毛フェルトのいいところは、例え変な形になってしまっても、それさえも味になるという点だ。もし「あー、失敗した~」と思ったら剥がせばいいし、「なんか足りないな~」と思ったら、羊毛フェルトをちぎって足せばいい。多少歪んでいても「味」となり、それがオリジナルの魅力となる。特別なスキルは要らずに始められ、出来上がった作品は愛おしい唯一無二の存在となるのだ。

羊毛フェルトの温かみのある、ふんわりとした性質を利用して、ほっこり系の動物や冬アイテムに取り入れたいアクセサリーや小物を作るのが人気だが、アイデアによって作れるものは無限大。好きなアニメのキャラクターや自分が飼っているペットをモデルに自作に挑む男の人もいて、完成した作品はSNSなどで披露されている。

なかでも、筆者が気になったのは仮面ライダーやガンダムなどのヒーロー系を再現した作品だ。小さな頃に憧れたあのヒーローが、もこもこ優しい感触の羊毛フェルトで再現できるとは、想像もしていなかった。ファンシーなイメージが強い羊毛フェルトの概念をいい意味で覆してくれた、クールでかわいくて、かっこいい羊毛フェルトもあるのを知り、ますます興味津々だ。

手芸って(かわいい系)女子の趣味でしょ、なんて古臭い固定概念を持っていたことを、改めて猛省。夢中になれる趣味を持っている人は、魅力的だ。「ギャップ萌え」してしまうような趣味であれば、なおさら。何か趣味を…と探しているなら、羊毛フェルトを候補のひとつに入れてみては。もともと工作が好きだった、ものづくりって楽しそう…と思っている人なら、創造力をかきたて、羊毛フェルトを体験してみるのも悪くないだろう。何だか心がモヤモヤし、お疲れモードのときに試してみるのもおすすめだ。