ぽち袋の「ぽち」ってなんだ?
そもそも、「ぽち袋」の「ぽち」って何だろう?そう思い調べてみると…、関西弁の「ぼちぼち(ぽちぽち)」からきており、「少しだけ」や「これっぽち」という意味だそう。
舞妓さんなどに心付けを渡す時に使われていた祝儀袋が始まりで、「少ないですが」という謙虚な気持ちを込めながら、気軽に少額のお金を渡すときに入れる袋として、明治時代ごろに生み出されたものなんだそうだ。
捨てられない、ぽち袋ってありません?
お年玉だけでなく、大入り袋として使ったり、旅館などで心付けを渡すときなど、“ほんの少しのお金”を入れて相手に渡すときに便利な「ぽち袋」は、小さくてかさばらず、何よりもデザイン豊富なのが魅力。
「どんなぽち袋にしようか…」とお年玉をあげる相手を想いながらぽち袋を選んでいるときは、大人だってワクワク楽しい気持ちになるものだ。
そんなこだわりのぽち袋をもらったら、お年玉の中身(=お金)を出したあとも、すぐにポイっと捨てられなかった、という人もいるのでは。
筆者のまわりにも、お年玉の中身はすぐに使ってしまっても、ぽち袋はずっと取ってある、という子どもが結構いるのだ。
だからこそ、もらった後も、もったいなくて捨てられないくらい記憶に残るぽち袋を準備したい。渡したとき、喜んでくれる顔を思い浮かべながら。
お札を入れるとマスク姿の福沢諭吉が現れる
2020年を象徴するような、マスク姿の偉人達の顔が印象的なぽち袋を発見!デザイン事務所「SANAGI design studio」が制作したぽち袋、「YEN HOME(エンホーム)」だ。
お札を入れることによって完成する仕立てのポチ袋は、10月に販売された途端、即完するほどの大人気。
そもそも、なぜ、このアイデアのぽち袋が生まれたか、と言うと…。
「本来なら会って祝うはずだった親戚の子どもに入学や卒業祝いも渡せない。振り込みや電子送金などの手もあるが、それはそれで味気ない…。」
そんな声を耳にした制作者が、年末年始には家族や親戚が集まるだろうから、そこでお祝い金を渡す時にワイワイ楽しくなるようなデザインにしよう!と考えたのがきっかけなんだそう。
受け取った人がぽち袋から紙幣を抜くと、内側から「外出中」という文字が現れ、「人間と一緒に諭吉さんもなるだけ外出させないようにしよう!(浪費するなっ)」といった、ちょっとしたユーモアを含んだギミックも。
くすっと笑える、「麒麟がくる」の武将たち
ユーモアという視点でいくと、もうひとつ注目のぽち袋が!それが、こちら。令和3年2月まで放送されるNHK大河ドラマ「麒麟がくる」のパロディー風ぽち袋だ。ドラマの主役、明智光秀をはじめ多くの武将たちのゆかりの地である岐阜県で販売されたものだ。
ドラマの主人公の明智光秀と「金を貢ぐ」を引っかけて「明智貢いで」、織田信長とお駄賃で「織田ちん」、斎藤道三と「ありがとう」で「ありが道三」の全3種類。
「麒麟がくる」で注目を集めた、あの3人の武将たちのくすっと笑えるフレーズとなんとも言えないゆるいイラストが印象的。お年玉以外にも、立て替えてもらった割り勘代を渡すときなど、ちょっとしたお返しやお礼を渡すシーンでも使えそうだ。
飛び出す!ポップアップぽち袋
縁起の良いモチーフが、開いた瞬間に飛び出すポップアップタイプのぽち袋も。
カード式の下部分にはポケットが付いていて、三つ折りにしたお札を3枚まで入れることができ、カードを入れる「おとしだま」と書かれた袋とのセットになっている。
繊細な抜きと折りの加工で表現した招き猫や富士山などの絵柄が、ポップアップならではの紙の陰影や色の重なりにより、開いたときの驚きやお正月の華やかさを演出してくれる。
「お年玉、いくら入っているかな~」と期待に胸弾ませ、袋を開くときのドキドキ感をさらに倍増させてくれそうだ。
おみくじ型のぽち袋で、ハッピーに
お年玉の袋を開くときのドキドキ感と言えば、こちらも。おみくじ型ぽち袋「ポチみくじ」だ。
通常のぽち袋と違って、六角形の筒のなかにお年玉を入れられる仕様になっていて、もらった人はまるでおみくじを引くときのようにワクワクする体験ができるというわけ。
購入すると平面の状態で届くのだが、これを自分自身で紙から切り離して山折りしたり、のりをつけて接着したり…。昔懐かしい、付録を作る気分を味わいながら六角形の筒状にしていくのも楽しい。
最後に、紙幣をくるくると丸めて、付属のおみくじと一緒に輪ゴムで留めて中に入れれば、いつものお正月とはひと味違うぽち袋の完成だ。
受け継がれる日本の風習を、これからも。
こだわって選んだぽち袋だからこそ、大切に持っていてくれるのは嬉しいが、捨てられずたまっていく一方、なんていう場合にはリユースするのもおすすめだ。
持ち歩き用の絆創膏や薬を入れて使ったり、なくしてしまいがちなピアスや指輪などの小さなアクセサリーをしまったり、ぽち袋の用途を超え、さまざまな使い方で楽しんでみるのもいいだろう。
キャッシュレス化やオンライン化が進む時代だが、想いのこもったぽち袋に入ったお年玉を手渡しであげたり、もらったり…。そんなお正月の定番の光景が、令和の時代もずっと残っていくといいな、と思う次第である。