ウイングチップの由来は?
まずは、ウイングチップの由来をご紹介しましょう。
つま先部分の穴飾りの形が、鳥の羽のように見えることから名付けられたと言われていますが、実はこれはアメリカでの呼び方。発祥国であるイギリスでは「ブローグシューズ」と、呼ばれています。
ウイングチップは、イギリスで狩猟時に履く靴として誕生しました。狩猟は、古くから上流階級のたしなみとして認知されており、ジャケットを着てネクタイを結び、革靴を履くという文化がありました。
しかし、一枚革で作られた革靴では、防水性や耐久性がどうしても弱くなってしまいます。そこで、元々スコットランドやアイルランドの高湿地帯に住むケルト民族が履いていた労働用の革靴にレザーを追加して補強し、厚くした素材に穴を開けたことが原型になったと言われています。
飾り以外の役割は?
つま先部分の穴飾りは、別名「メダリオン」と呼ばれています。
一見華やかな装飾のように見えますが、これは飾りではなくちゃんと役割を持っています。
先述したように、ウイングチップは元々高地に住んでいる民族の労働靴として使われていました。何層も革を重ねると当然厚くなるので、革靴の中に水が溜まってしまいます。
そこで、メダリオンを施すことで通気性を確保し、下層の革部分の水はけを高めます。つまり、メダリオンは通気孔としての役割を果たしているのです。
ただ、現在においては湿地帯でウイングチップを履くことも、そうそうないかと思うので…。飾りという回答も、半分当たっているのかもしれません。
長さによってスタイルが異なる
また、ウイングの長さによっても出自が異なります。
ウイングが土踏まずまでの長さ(ショートウイング)のものがイギリス式(写真右)、つま先からかかとまで伸びているもの(ロングウイング)のものがアメリカ式(写真左)と言われています。
ウイングチップの長さに合わせて、英国調のトラッドスタイルにはショートウイングを、カジュアルなアメリカントラッド風のファッションにはロングウイングを選べば「分かってる感」を演出できること請け合いです!