髪を切る日
時は2022年3月某日。
さて、待ちに待ったカットの瞬間がやってきました。
「髪を寄付しよう 前編」
本当はもう少し早くカットしようと思っていたのですが、ある言葉が私を思いとどまらせました。
寄付で集まった髪は、選別などウィッグになるための処理を終えるとベースへ植え付ける作業に入ります。このとき髪の毛は半分に折って使うため31センチの髪は約15㎝の寸法で完成します。15㎝では小さな子供達の頭でもボブカットにしかなりません。
しかし、多くの子がロングヘアを希望しているのです(一度は長くしてみたいよね)。
個人差はあると思いますが、私はあまりにもロングヘアの維持が大変で次回いつドネーションへ参加できるか分かりません。
出来ればこの機会に長い髪の毛をあげたい…。
「えええいっ!!仕方ない、もう少し伸ばす(涙)!待ってろよ子供達!!!」
というわけで決意してからは2年半、伸ばし始めて3年が経過してのカットです。
一度の洗髪でシャンプー液は8プッシュを超え脅威の10プッシュです。傷んだ長い髪をほどくと、ほとんど円山応挙の幽霊画です。
実は私が二十歳頃から通っているヘアサロンはヘアドネーション活動に参加していて、「ドネーションしたい」とお願いするとカットから送付のための準備を殆どサロン側で手配してくれました。
※サロンから送付は出来ませんので、自ら投函する必要があります
いざカット
このサロンでは、過去すでに多くの方(女性、男性、子供達、あらゆる人)がドネーション活動に参加していました。ずいぶん長いこと通っているのに無関心だった私はまったく知らなかったのです。
今回どうしても記事にしたいということで相談したところ写真撮影を許可していただけました。
これは断髪用セッティングの様子です。
さらにさらに!店長のご厚意でハサミを貸してもらい、断髪式の最初のワンカットは自分で切らせてもらったのです。
傷んでいてもまだコシがあって、ハサミを入れると髪が逃げる感じがします。
「ぱさっ」
結果的に37㎝の髪の毛を寄付することが出来ました。
こうして私の長い長いヘアドネーション活動は一段落しました。
この日、3年ぶりに髪はとても短くなり、シャンプー液は1プッシュに戻ったのです。
寄付の価値
そして今回このように仰々しく記事にしたのですが、私が寄付した1人分の髪の毛ではたった一つのウィッグも出来ません。
20〜30人分の髪の毛が集まって漸く1つのウィッグができるそうです。
つまり3年かけても私は1人も救えていないのです。
最初に建てた指針二つ
- 人からは偽善と言われるかもしれないけど、まず参加する
- 良いことかどうかは参加後自分で判断する
実際にやってみた私の判断は下記の通りです。
ヘアドネーションはたとえノリで始めたとしても、道はあまりにも長くて我慢の連続で、数々の不便さが生活に侵食してきます。途中で仕事のため、誰かのため、ということは忘れていました。すでに修行です。
「寄付活動においては物質的にも精神的にも見返り求めない。誰かの役に立つ可能性の一環として自分が好きでやったことで、感謝されなくても当たり前。」
と、立派なことを言いながらもドネーション受領証をGETして大喜びする私なのでした。