1. ホーム
  2. ブログ&エッセイ
  3. ブログ
  4. 📖 第0回:物語類型を繙く

📖 第0回:物語類型を繙く

──なぜ私たちは「同じ物語」に惹かれてしまうのか?

なぜ類型に注目するのか

私は、双子の兄弟として生まれました。
よく「双子は通じ合う」と言われますが、実際、私たちは手をつなぐと、自分と同じ素材でできていることが分かるような、不思議な一体感を感じていたものです。

そんな私たちの日課は、毎晩眠る前に母の昔話朗読を聞くことでした。
(※ちなみに、ナゾナゾタイムと昔話朗読は、交互に開催されていました)

その昔話は、毎回違っていて楽しかった。
でも、あるとき気がついたのです。

「あれ? お姫さまって、いつも王子さまと結婚してるな」

物語の結末に、ある“型”のようなものがある。
子どもながらに、同じようなオチが繰り返されることに、なぜか猛烈に惹かれたのです。

それ以来、神話、昔話、伝承、怪談──
そんな「語られ続ける物語」に強い興味を持つようになりました。


世界中で反復される“型”の魅力

なぜこんなにも、同じ構造の物語に心を動かされてしまうのでしょう?

怪物は倒され、
人に化けた花嫁(あるいは花婿)は去ってしまい、
姫は王子と結ばれる──

いつだって似たような展開。
でも、飽きることはない

むしろ私は、こう思ってしまうのです。

「他に道はなかったのか?」
「もっと違う結末がありえたのでは?」
「でも、こうなると分かっていても、グッときてしまうのはなぜ?」

そんなふうに考えながら、
好きな映画やアニメ、小説や漫画を見ていると、
「ああ、この作品も“あの型”に沿ってるんだな」と気づく瞬間があります。

きっと私は、「同じだけど違う物語」に出会うたび、
安心したり、驚いたり、心を揺さぶられてきたのです。


今後取り上げる“物語の型”たち

この連載では、私がとくに気になっている「物語類型」を、ひとつずつ掘り下げていきます。
Wikipediaに記されていた以下の分類をもとに、物語の構造を紐解いていきたいと思います。


✍ 物語類型一覧(予定)

  1. 異類(異種)婚姻譚
     鶴の恩返し、一寸法師など
  2. 異常誕生譚
     飴買い幽霊 ほか
  3. 見るなのタブー
     鶴の恩返し、浦島太郎、イザナギとイザナミ、パンドラの箱、ロトの妻の塩柱 など
  4. 変身譚
     狼男、化け猫、クシナダヒメ など
  5. 異郷訪問譚
     浦島太郎 など
  6. 継子いじめ譚
     シンデレラ など
  7. 末子成功譚
     三匹の子豚 など
  8. 致富譚
     わらしべ長者 など
  9. 感生伝説
     豊臣秀吉、劉邦、朱元璋 など
  10. 申し子譚
     祈願によって子を授かる物語(玉水物語など)
  11. セカイ系
     『ほしのこえ』など
  12. なろう系
     現代的類型としての“転生もの”など
  13. 難破物語
     シンドバードの航海、ロビンソン・クルーソー ほか

記事の形式について

各回では、以下の形式でお届けします。

  • 概要解説(どんな型なのか)

  • どんなプロットか(代表的な展開)

  • 現在に伝わっている物語(昔話や映画など)

  • 現代の私が思うこと(感想・考察)


さあ、物語を繙いていきましょう。
「何度も語られてきたこと」の中に、
私たちの心のかたちが、きっと浮かび上がってくるはずです。