これでも30円、まっくろけのけ
「ボールペン、三菱マークのボールペン。軽く書いてもまっくろけのけ。これでも30円まっくろけのけ」
という北島三郎の歌をご存知でしょうか。これは大正時代の流行歌「まっくろ節」の替え歌で、三菱鉛筆のボールペンのCMで流れていました。
今のようにインターネットもスマートフォンもない昭和の時代の子供たちは、何をさておき「テレビコマーシャル」が大きな情報源でした。そして思い出してみると、当時は、今と違って子供に向けたCMがすごく多かったように記憶しています。
同じボールペンでも「みえる、みえる」と目のアニメーションを使った「ゼブラボールペン」のCMも子供に人気がありました(当時の子供はアニメに飢えていたので、絵が動くだけで集中してテレビを見ていたものです)。
他にも、子供向けの文具のコマーシャルとしては、鉛筆をミサイルのように斜めに設置したり、消しゴムが飛び出すというギミックの付いた筆箱。あるいは「象が踏んでもこわれない」というサンスターのアーム筆入れなど、多くの文具メーカーが、視聴者の中でも「小学生」をターゲットにしたCMがとても多くありました。
アーム筆入れなどは、机の上から筆箱めがけて飛び降りる、お調子者の小学生がクラスにひとりは居ましたよね。
この時代(1970年代)は、日本も大きく経済成長した頃で「今までにない新しくて便利なものを購入したい」というマインドが社会を席巻し、カラーテレビ、自家用車、クーラーを「3C」と呼ぶ「三種の神器」の時代でした。
おそらくその流れは、子供にも影響を与え、学習机や変速ギアとフラッシャー付の自転車などのCMも多く流れていました。