岐阜県が誇る伝統産業
岐阜県が誇る伝統産
「枡」の日本一の生産量を誇る岐阜県大垣市。かつては木曽ヒノキの一大集積地だった名古屋で盛んにつくられていましたが、明治中期に職人の一人が奉公を終えて大垣に戻り、その技術を伝えたことをきっかけに大垣でも枡づくりがスタート。今では、伝統産業として地域に根付き、年間200万個もの枡を製造しています。
もともと米などを量る計量器として使われていた枡は、1300年前の奈良時代からあったとされています。戦国時代には年貢の計量にも使用されており、暮らしに欠かせない大切な道具として扱われていました。
今でこそ計量器としての役割は減っていますが、近年では結婚式や記念式典などのお祝いの席で活躍したり、鏡開きといった行事で使われていました。
しかし、需要は年々減少…。
そんな「枡」に新たな風を吹き込んだのが、大垣で70年以上木枡を作り続ける「大橋量器」。「もっと枡を身近に感じてほしい」と、既成概念にとらわれない枡商品を開発・製造。ユニークな商品を次々と生み出しています。
デザイン性と機能性を備えた商品が続々
例えば、「カラー枡」。枡にデザイン性を取り入れ、インテリア雑貨としても使えるようにアレンジした同商品は海外でも高く評価されています。ファッションブランド「ポール・スミス」のニューヨーク店への納品経験もあるんだとか。
かくいう筆者もこの商品に一目惚れ。枡に興味を持ったのは、実はこの商品がきっかけでした。カラーバリエーションも豊富。赤、青、黄といった鮮やかな色がセンス良く施された枡は、本当に目を惹きますよね。筆者の家では小物入れとして活躍しています。
枡を製作するときの端材を利用した加湿器も。電気を使わず使用できるので環境にも優しいんです。もちろん、性能もバッチリ。ヒノキの特性を活かした自然気化による加湿効果で、お部屋に潤いを与えてくれます。帆を立てたヨットのようなデザインも印象的。ふんわりただようヒノキの香りにも癒されます。
四角が一般的な枡を同社の巧みな技術を駆使して多角形にしたユニークな商品もあります。「合格(五角)します!」は、シャレがきいていて受験生に大好評。末広がりの八角形の枡は縁起が良いと、プレゼントとしても喜ばれていますよ。
酒器シリーズも気になるところ。斜めに傾いたシルエットがユニークな「/(sla スラ)徳利&猪口セット」は、見た目のインパクトに目を向けがちですが、機能性の面にもこだわった一品。斜めにしたことで、注ぎやすく飲みやすいというメリットに加え、内側にウレタン加工が施してあるので漏れる心配もありません。
こんな徳利とお猪口でお酒を提供されたら、場が盛り上がりそう。こちらの商品は、ニューヨーク近代美術館MoMAのミュージアムショップでも販売しているんだとか。
ほかにも、取っ手付きのジョッキ枡や枡のワインクーラーの取り扱いもあるんです。ジョッキ枡は飲み口にしっかり加工がされているので意外なほど口当たりがよく、お酒がぐいぐい進んでしまいそうです。
枡の魅力を体感!masu cafeも誕生
このカフェは同社がプロデュース。店内は枡、枡、枡と、枡のオンパレードで、壁一面に枡、テーブルも枡、そして食器にも枡を使うというこだわりぶり。上記で紹介しているジョッキ枡などは、パフェの容器として使われているんですよ。
SNS映えすると、休日には多くのお客さんが訪れるとか。枡の使い勝手が気になる…という人は、こちらで使い心地や実物を見てから購入するといいかもしれませんね。
カフェにはドリンクから食事セットまでさまざまなメニューがあり、ゆっくり寛ぐことができます。枡の魅力であるヒノキの香りとコーヒーが楽しめないかとの発想から、枡で飲むためのコーヒーも開発。名古屋のコーヒー店「喫茶ニューポピー」とコラボし、枡で飲むからこそ美味しいと感じるコーヒーを完成させたそうです。
「枡×コーヒー」の至福の一杯を、ぜひ現地で味わってみてください。飲んだ後の枡は、お土産に持ち帰ることもできます。こういった心遣いは嬉しいですね。
世界初!枡の内装も!?
同社のチャレンジはこれだけにとどまりません。昨年の春には、枡を使った内装材ブランドまで立ち上げました。枡が空間を彩る壁材になるなんて、誰が想像したでしょう?枡を立体的に組み合わせることで生まれる幾何学的な美しさは、見るものを魅了すること間違いなしです。
想像以上に無限の可能性を秘めた「枡」。目からウロコな商品がたくさんあり、木枡の印象が変わったのではないでしょうか?「枡」は、これからも注目を集めそうですね。次はどんな商品が登場するのか楽しみです!