今回は文具店の目線から、ペンを用途で分類し、特に「筆記用」と「描画用」に焦点を当てて、その違いと魅力を紐解きます。ちょっとプロ寄りな内容です。
1.筆記用:文字を書くための道具
日々のメモからビジネス文書、日記や手紙まで。筆記用のペンは、「正確に・快適に・長く」書くことを目的とした道具です。以下のように種類ごとに特性が異なります。
● ボールペン
※ペン先に設置されたボールが回転する機構を持っていることをボールペンに分類する条件としました
油性インク
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耐水性・耐光性に優れ、乾きも早い。
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書類記入や日常使いに最適。
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代表:三菱「ジェットストリーム」、パイロット「アクロボール」
水性インク
滑らかな書き味が特徴で、ゲル状と液体状に分かれます。
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ゲル状インク:発色がよく、書き心地もなめらか
- ゼブラ「サラサ」/三菱「シグノシリーズ」、「ユニボールワン」その他色々 -
液体状インク:インクの濃淡や滑らかさを楽しめる(少数のファンから強い支持を得ています)
- パイロット「Vコーン」/三菱「ユニボールアイ」/トンボ「モノボール」
● 万年筆
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「あたりペン」をゲットするとインクフローが豊かで、筆跡に個性が出やすい。
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書くことを楽しみたい人や、手紙や秘密の手記(!!)によく使われる。
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プラチナ「プレジール」、パイロット「カクノ」、セーラー「ハイエースネオ」などは入門用も充実。
● シャープペンシル/鉛筆
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替芯式のシャープペンは製図や学用ノートに最適。
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鉛筆は芯の硬度で書き味が変わる、自然な筆記感が魅力。
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代表:三菱「ハイユニ」、トンボ「MONO100」
2020年代、日本には空前絶後のシャープペンシルブームが来ている。このお話しはまた今度。
● マーカー(細字)
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通常はマーキング用途だが、細字タイプは筆記やイラストにも活躍。
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サクラクレパス「ピグマ」、.too「コピックマルチライナー」、ぺんてる「ボールPentel」「プラマン」などがスタンダード。
2.描画用:アイデアを“描く”ペン
描画用と聞くと絵を描くものと思いがちですが、装飾的に「書く」ための道具としても使われています。つまり筆記用のペンと曖昧なもの
手帳を彩ったり、メッセージカードに表情をつけたり――描線や色、筆感を楽しみたいときに選びたいのがこちらのタイプです。
● カラーサインペン
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明るく鮮やかな発色で、カジュアルな筆記やカラーノートに最適。
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トンボ「プレイカラーK」、ぺんてる「サインペン」など。
● ミリペン(製図・イラスト用)
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安定した線幅が特徴。イラストや手帳のデコレーションに◎。
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サクラクレパス「ピグマ」、.too「コピックマルチライナー」⇒筆記にも使われますね
● 筆ペン・ブラッシュペン
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筆圧により線の強弱やかすれが出せ、書くこと自体が表現に。
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「ふでごこち(呉竹)」や「筆タッチサインペン(ぺんてる)」は筆記との中間的存在。
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イラスト・カリグラフィーにも使える「ABT」シリーズ(トンボ)なども人気。
● ガラスペン・つけペン
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インクを浸して使う伝統的な道具。
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インクの色味や筆記感を楽しむ、趣味の時間にぴったり。
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HARIOや工房オリジナル品も魅力的。
結び
「書く」という行為が同じでも、ペンの用途が変われば、その体験はまったく違うものになります。文字を書く、アイデアを描く、そのどちらにも寄り添えるペンたちは、まさに創造のパートナー。
少し長くなってしまったので、筆記と描画にフィーチャーした記事になりました。次回は「情報を強調する(マーキング用)筆記具」に迫ります。