教科書の重要語句、会議資料の要点、タスク管理の優先順位付け。ほんの一筆で情報に光を当てるその役割は、単なる文房具の域を超えて、思考と整理のツールとして進化を続けています。
1. マーキングペンとは?
マーキングペン(ハイライター)とは、情報の「見落とし防止」を目的に作られた、強調専用の筆記具です。透明度の高いインクにより、文字を潰さずに上から塗っても視認性を保つことができます。
多くはチゼル型(斜めにカットされた角型)ペン先を持ち、太線と細線を使い分けられるツインヘッドタイプや、先端に「窓」がある視認性重視のモデルなど、用途に応じた多様な機能が搭載されています。
2. 世界におけるハイライターの誕生
1971年、ドイツの筆記具メーカー「スタビロ(STABILO)」が世界初の蛍光ペン「BOSS ORIGINAL」を発売。
鮮やかな蛍光色とコピー適性の高さが評価され、欧米を中心にオフィス用途で広まりました。
その後、黄色やオレンジといった“目に入りやすい”カラーがスタンダードとなり、視認性と実用性を両立する筆記具としての地位を確立します。
4. 実務における活用シーン
マーキングペンは、学習用途だけでなく、社会人の情報整理にも欠かせません。
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ビジネス資料の重要箇所の強調
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教育現場でのフィードバックや赤入れ補助
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スケジュール帳やTODO管理での色分類
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複数人で共有する資料の注目ポイント明示
色ごとに意味を割り当てることで、「視覚的な優先順位」が明確になり、業務の効率化にもつながります。
ここからは、代表選手紹介をします。これだけ揃えれば、文具店の蛍光ペンコーナーが出来てしまう!!
5. 個性あふれる代表選手たち
🖊 国内メーカーの傑作たち
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三菱鉛筆「プロパス・ウィンドウ」
ペン先に「窓」が空いた独自設計。引いている位置を目視しながらマークでき、ミスを減らします。 -
パイロット「スポットライターVW」「キレーナ」
VWは蛍光マーカーの余り使われない細字を排除し、二色太字ツインタイプ。画期的です。
キレーナは2024年に発売したナイロンチップマーカー。紙へのフィット感が素晴らしい。 -
ぺんてる「ハンディラインS」
激レアなノック式で片手操作が可能。キャップを失くさず素早く使える機能美が魅力。 -
トンボ鉛筆「蛍コート」
安定した発色とにじみにくさで、長年愛されるロングセラー。トンボ鉛筆は日本で最初に蛍光マーカーを作りました。オリジナルをリスペクトせよ! -
ゼブラ「オプテックス」「マイルドライナー」
王道の高発色タイプと、手帳と相性の良い「淡い色系」モデルを展開。
実はこのペンの登場で、他の蛍光マーカーが駆逐されつつあります(本当!)。
海外メーカーのロングセラー
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STABILO「BOSS ORIGINAL」
蛍光ペンの元祖。半世紀以上変わらぬデザインと安定感。特殊な形状で日本ではイマイチ普及していません。しかし本物のオリジナルですから、忘れてはいけません。 -
STAEDTLER「テキストサーファーゲル」
ゲルインク採用で、紙ににじまず、においも少ない。
但し、近年売上はいまいちな感じですね。
6. 比較で見るマーキングペンの世界
蛍光マーカー年表
年代 |
出来事 |
1963年 |
スタビロ社が世界初の蛍光ペン「BOSS」発売(ドイツ) |
1970年代後半 |
日本に蛍光ペン本格上陸、学生を中心に普及 |
1980年代 |
トンボ「蛍コート」、ゼブラ「オプテックス」など国産モデル登場 |
1990年代 |
パイロット「スポットライター」など、ツインヘッドタイプ普及 |
2000年代 |
三菱「プロパス・ウィンドウ」、ぺんてる「ハンディラインS」登場 |
2009年 |
ゼブラ「マイルドライナー」がSNS世代にヒット、淡色系ブームの先駆けに |
2010年代 |
ステッドラー「テキストサーファーゲル」など、にじみにくさ・静音性に注目集まる |
2025年調査
製品名 |
メーカー |
発売年(目安) |
特徴 |
ペン先 |
カラー展開 |
向いている用途 |
キレーナ |
パイロット |
2024年 |
にじみにくい、安定した直線筆記 |
ナイロンチップ |
5色 |
ノート整理 |
マイルドライナー |
ゼブラ |
2009年 |
淡色・おしゃれカラー |
ツインヘッド |
25色以上 |
手帳、日記、デコ |
プロパス・ウィンドウ |
三菱鉛筆 |
2007年頃 |
窓付きで視界良好 |
チゼル(彫刻刀のような形状のこと) |
全10色 |
ノート整理、精密なマーキング |
スポットライターVW |
パイロット |
1990年代 |
太細両用・にじみにくい |
ツインヘッド |
5色 |
学習、資料チェック |
ハンディラインS |
ぺんてる |
2000年代 |
ノック式・片手で操作可 |
チゼル |
6色 |
オフィス実務、持ち歩き |
蛍コート |
トンボ |
1980年代 |
発色安定・にじみにくい |
チゼル |
6色 |
教科書マーキング |
オプテックス |
ゼブラ |
1980年代 |
高発色・長寿命 |
チゼル |
6色 |
学習、ビジネス全般 |
BOSS ORIGINAL |
スタビロ |
1963年 |
世界初の蛍光ペン |
チゼル |
18色 |
オフィス資料・定番 |
テキストサーファーゲル |
ステッドラー |
2010年代 |
ゲル式・にじまない |
丸芯 |
5色 |
辞書・薄紙、静かな作業向け |
コラム:フリクションラインを知っているか?
2005年、パイロットより発売された「フリクションライン(※フリクションライトではない!!!)」は、国内フリクションシリーズ初の製品。そう、日本国内ではボールペンよりも先に製品があったのです。熱で消せるインク技術を搭載し、蛍光色ではないものの“消せるハイライター”として静かな革新をもたらしました。今やフリクションシリーズは、ボールペン、スタンプ、色鉛筆などへと広がり、多くの人々の「書く体験」に新たな可能性を加えています。
7. まとめ
マーキングペンは、文字を書くこととは少し異なる、「情報に光を当てる」行為のための道具です。
強調し、記憶し、共有するためのこのツールは、これからも使い方の工夫次第でさらに多彩な表現を支えてくれるでしょう。
あなたのそばにある1本のペンが、何かを伝え、何かを残し、そして何かを気づかせてくれる。
そんな存在になれることを、私たちは信じています。