アルメニア・ペーパーは、芳香樹脂や浸剤を染み込ませたアロマペーパー。火を点すと、やがて香木のようにジワジワと燃えはじめ、火種が広がるにつれて、あたりに優しい香りが立ち込めてきます。
もちろん、火を着けずとも、その風雅な香りを存分に楽しむことができます。それこそ付箋やしおりのように愛用のノートや手帳に挟んでおけば、開くたびに仄かな移り香が漂ってくるはず。
クローゼットの片隅に置いたり、鞄や財布、お気に入りの衣類のポケットにそっとしまっておくといった使い方もできますし、天然成分ゆえに、感染予防対策用のマスクを保管しておくマスクホルダーに忍ばせておいても安心です。
華やかだけど、心やすらぐ、大人の香り
そもそも、このアルメニア・ペーパーは、トルコの東、南コーカサスに位置するアルメニアに由来するモノだとか。かつて同地方で香りの良い木を見つけたイタリア人が、なんとかその香りを母国に持ち帰りたいと考え、香木をオイルに浸し、それを紙に染み込ませたのがはじまりといわれています。
また、一説には、フィレンツェで創業800年の歴史を持ち、現存する世界最古の薬局としても知られる「サンタ・マリア・ノヴェッラ」が発祥であるとも。今回取り寄せたアルメニア・ペーパーも、サンタ・マリア・ノヴェッラ謹製の一品。開発当時の調香レシピをそのままに、ややスパイシーで上品な香気を味わわせてくれる人気の商品です。
ちなみに、サンタ・マリア・ノヴェッラの名を聞いてピンときた方は、きっとかなりのシネマ通かも?
サイコスリラーの金字塔『羊たちの沈黙』の続編『ハンニバル』で、主人公のクラリスが、送られてきた手紙に残る微かな香りから、レクター博士の居場所を突き止めようとしますが、その香りはこの老舗薬局で調合されたハンドクリームのもの。冷酷なシリアルキラーでありながら、知的な伊達男。高い美意識を持った猟奇殺人犯のキャラクターを見事に表現する名シーンでした。
世界の有名ホテルやサロンでも使われているアロマツール
さて、その使い方はいたって簡単。普通のお香を焚く時のように、まずは香皿を用意します。専用のものがなければ、陶製やガラス製のミニソーサーでも構いません。
そして、写真のように蛇腹に折り畳んで、紙片の隅っこに着火するだけ。
最初は紙が燃える匂いがしてきますが、やがて芳醇な香りが漂ってきます。といっても、香水のようにむせかえるほどのキツい匂いではなく、甘さ控えめ、厳かで心地良い香り。
本場イタリアや香りの文化が根付いたフランスでは、病院やヒーリングサロン、ホテルでも使用されているというのも頷けますね。空気を浄化し、癒し効果もあるとされ、ペットやタバコの嫌な匂いや、食事後のお部屋の消臭にも役立ちそうです。
あ、火の元には十分気をつけて!
また、日頃使っているパルファムやコロンとは異なり、誰かにアピールするほどの強い香りではなく、仮にご自身が香水を付けていたとしても、その香りを邪魔することはありません。ふとした瞬間にフワリと香る安息香と喩えればお分かりいただけるでしょうか。
前述のように、愛用のノートや手帳に挟んでおいたり、出張や旅行先のホテルでリラックスするために焚いたりと、使い方は自由自在。不要な匂いと心身をリセットしたい時、このアルメニア・ペーパーを試してみてはいかがでしょう。