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クリエイティブの果てにたどり着いたハンドバック作り

デザイナー、ミュージシャン、クラフトアーティストと多彩な顔を持つ榎本みょうが(えのもと みょうが)氏が力を注いでいる「pinca(ピンカ)」という鞄のオリジナルブランドについて話を伺いました。

高専を経て大学でクリエイティブに目覚める

 

森川:もう随分長い付き合いなので、僕個人は幾度か聞いているのですけど、今回はみょうが君がどうしてクリエイティブを志したのかという話と、現在取り組んでいる「pinca」について話を聞かせてください。

 

みょうが:そうですね。随分長い付き合いですね。(笑)

 

森川:子供の頃、みょうが君は男の子と遊ぶより女の子と一緒にいる時間が多かったって言ってたよね。「自転車よりリカちゃんハウスが欲しかった」って言ってたのを聞いて、ちょっとびっくりしたのを覚えているよ。

 

みょうが:うん、でも、やっぱり僕らの世代は男子が「女の子の遊び」が好きっていうのは、色々よろしくないというか。だから、心の中のことはずっと封印していました。森川さんだから、うっかり口を滑らせてしまったのかも知れないですね。そもそも男子と一緒にスポーツするのがとても苦手だったので。

 

森川:そうなんだ。本当にやりたかったことは隠してきた…って感じ?

 

みょうが:そう。自分の好みを話せる友達も少なかったしね。その後に高校受験で、親のウケを狙って高専を受験したら、合格してしまったんです。けど、化学工学を専攻していたのですけど、入学してすぐに「自分には向いてない」って分かってしまって、そこから3年だけ通って高専を中退して、大阪芸術大学に入学しました。

 

森川:確か…デザイン学科のインテリアデザイン専攻だったよね。

 

みょうが:うん。最初はぼんやり「絵が描きたい」って思っていて、そこから絵を描くことを仕事にするならデザイナーになるしかないって思っていた。

 

森川:それで、大阪芸大に入学してみて、これまで封印していたものが開花したのかな?

 

みょうが:いや、まだそれはもっと先。でもね、大学に入ってすごくクリエイティブなことや芸術に取り組んでいる先輩を見て、ワクワクしてね。特に森川さんたちがやっていたバンドやイベントにすごく刺激を受けたんです。

 

森川:え?僕ですか?

 

みょうが:そうですよ(笑)。自分の好きなように企画して、さらに全部オリジナルで音楽作ってたでしょう。音響機材も自作のスピーカーやPAを駆使する先輩が居たりとかさ。

 

森川:確かにそうだったかも知れないね。

 

みょうが:それまで僕は「自分を表現する」ということに躊躇してたのかなあ…と。さらに森川さんが卒業してからも自宅多重録音で作品を作っているのをずっと横で見てて、さらに一緒に参加させてもらって、とても刺激的だった。それが、この後の人生でのクリエイティブの基礎的な考えになったと思いますね。

 

↑大学時代から参加したバンド活動は、25年後に再開。現在もまったり続けている。

大学時代から参加したバンド活動は、25年後に再開。現在もまったり続けている。

 

森川:確かにあの時代(1980年代初頭)は「新しい表現」に挑戦することこそが、クリエイティブだと思っていたよね。

 

みょうが:そうそう。それで僕も大学卒業前には写真スタジオでアルバイトしていて、スタイリスト的なことやヘア&メイクの真似事みたいなことを仕事でやらせてもらって、自分が好きなことをやるのに自信が付いたんです。正直「スタイリストでやってけるかも」…って思いましたもん。その頃はね。(笑)

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