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今からでも遅くない御朱印デビュー、まずは「御朱印帳」選びから!

2000年代初めからにわかに注目を集め、いまだ根強い人気を誇る「御朱印巡り」。いまさら聞けない御朱印帳の選び方を、御朱印巡りのルールやマナーとともに解説します。

「お伊勢参り」という言葉があるように、遠方の神社仏閣を訪ねて巡礼の旅へ出かけることは、古くから庶民にとっては憧れであり最大の娯楽でした。

御朱印の由来には諸説あるのですが、日本で最も古い巡礼として知られる西国三十三所巡りがその原点ではないかといわれています。これは、関西に点在する33のお寺を巡り、祈念するというもの。すべての霊場で御朱印をいただくと、それが極楽浄土へのパスポートになると信じられていました。

御朱印は「スタンプラリー」にあらず、あくまでも「参拝の証」です

御朱印は、修行の一つである写経を行い、それをお寺へ奉納した証としていただくものだったことから「納経印」とも称されます。また一説には、必ずしも写経の奉納は伴わず、寺社に対して多大な貢献をしたり、写経に代わる納め札(納経札)や版経(木版などで印刷した経典)を納めた場合にも押印していただけたのだとか。

やがて、時代が江戸後期に入って治安が安定してくると、こうした信仰を目的とする旅が一大ブームに! さらに時が下るにつれて、写経の奉納は形骸化してしまいますが、参拝の証として御朱印が授与される風習だけが残り、現在のスタイルへとつながっていきました。

とはいえ、今でも、写経所などでお経を書写しないと御朱印がもらえない寺院があります。もともとは教えに対する信仰心や、ご先祖様への感謝・供養の気持ちを前提とした授かり物なのでしょうね。その点はぜひ心に留め置き、真摯な気持ちでお詣りをしてから社務所や授与所へお伺いを立てるのがマナーです。

初めの一歩は、判型から入るべし

それでは、肝心の御朱印帳選びにまいりましょう。御朱印帳にはさまざまなタイプがあり、通販サイトをちょっと探しただけでもカラフルなデザインが豊富に揃っていることがわかります。

そこで一つ知っておきたいのは、約18cm×12cmのB6大判サイズと、文庫本の大きさに近い約16cm×11cmの2種が一般的であるということです。

大判型はどちらかというと大きめの御朱印が多い寺院用に、文庫本サイズはコンパクトな神社用に使い分けている方もいるようです。基本的に、お寺でいただく御朱印と神社でいただく御朱印は、一冊にまとめず分けたほうがよいとされている(滅多にありませんが、混在していると記帳を断られてしまうことがありますのでご注意!)ので、

それぞれ専用の御朱印帳を用意すべきなのですが、“大は小を兼ねる”ということわざがありますよね。万が一、判型をはみ出して描かれるデザインの御朱印だった場合も考慮して、大きいサイズで揃えておくのがベターかもしれません。

また、最近はコロナ禍の影響もあって、前もって御朱印を押印した“置き書き”と呼ばれる和紙(写真左)を手渡されることがあります。

ミニサイズだとはみ出てしまいますが、大判型ならそのまま貼り付けるのも簡単。旅行などに携行していくことを考えると、できるだけ小サイズを選びがちですが、いざ「判型が足りなくて記帳してもらえなかった」などと後悔しないよう、最初のマイ御朱印帳は慎重に選んでください。

基本は「蛇腹折り」、中には「中綴じ」「ひも綴じ」タイプも

たいていの御朱印帳は、文房具店などで実際に手に取ってみればわかるように、一枚の和紙を左右に折り畳んだ、蛇腹タイプのものが多いようです。

蛇腹折りの利点は、広げれば、それまで集めた御朱印が一度に見渡せるところ。構造的に書き面がフラットになるため、寺社の方々からも「書きやすい」と好まれているようです。

ちなみに、この蛇腹部分の和紙に使われているのが、楮(こうぞ)を原料とする厚手の奉書紙。しなやかで柔らかい質感がありながら、滲みや裏写りがしにくいので、両面を使うことができ、より多くの御朱印を集めたい人にぴったりです。

また最近では、見開きごとにページを繰る「中綴じ」……いわゆるブックタイプも増えています。こちらの特長は、持ち運びが容易な点と、旅の思い出を振り返るようにページを捲って眺められることでしょうか。

ただし、あまりポピュラーなスタイルではないためか、神社仏閣によっては御朱印の押印を断られてしまうこともあります。

さらに珍しいところでは、表紙と背表紙で台紙を挟む「ひも綴じ」タイプもあります。例えば、四国のお遍路参りでは、それぞれの札所ごとに順番が振られていますよね。通常は1番札所から順番通りに巡る「順打ち」が一般的ですが、実はどの霊場を起点にスタートしてもよいとされています。

その場合、いただいた御朱印がバラバラになってしまうのを避けるため、台紙の順序を自由に入れ替えられる「ひも綴じ」が重宝するんです。

オリジナルデザインを探し求める楽しみ

ここまでの基本を押さえたら、あとは好みのデザインを探してみましょう。紙質、サイズ、使い勝手をあれこれ思案しながら、これはと思う一冊を見つけてください。街の文房具店を回ってみたり、オンラインのECサイトで比較対象しながら吟味してみてもいいかもしれませんね。

また昨今のブーム再燃によって、多くの神社仏閣がオリジナルの御朱印帳を販売しています。「まずは地元の氏神様から参拝しよう」「せっかくなら次の旅行で訪れる○○の有名なお寺で御朱印をいただこう」などなど、思い思いのスタイルでお目当ての寺社を訪れ、購入するのもおすすめです。

御朱印が、私たち参拝者と寺社とをつなぐ一期一会のご縁であるのと同じように、ステキな御朱印帳との出会いもまたご縁かもしれません。お気に入りの御朱印帳を携え、節度とマナーを守りつつ御朱印巡りを楽しみましょう。