模倣とオマージュ
2017年3月、とある裁判を巡って最高裁の判決が下された。スイスの高級腕時計ブランド「フランク・ミュラー」を彷彿とさせる「フランク三浦」の商標が有効か否かを争う訴訟で、フランク三浦側が勝訴したのだ。遡って16年4月に行われた知財高裁判決では、ブランド名の語感が似て紛らわしいものの、外見や価格帯は明らかに異なり「混同される恐れはない」として、フランク三浦の商標が有効とされていた。それを受け、今度はフランク・ミュラー側が上告。審議の結果、一方の訴えは退けられ、もう一方の商標は存続されたかたちだ。
とはいえ、この判決はあくまでも商標に限ったもの。フランク三浦は世界に冠たるフランク・ミュラーという存在がなければ成立しなかったパロディ商品とされている。一部法曹界から「今回の判例は尊重すべきだが、ブランドの保護が危ぶまれる」という見方が出ているように、もし商標ではなく不正競争防止法違反で裁判が争われていたら別の結果が出ていたかもしれない。個人的には、悪質なパクリやコピー品ではないものの極めてグレーだと思っている。