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革にまつわるエコな話

「革」についてのお話、第4回目です。 前回までは革ってなんだろう、どうやって作られているんだろう、というお話でしたが、今回は少し目線を変えて「革」について考えてみました。実は革ってエコな活動に繋がっているんですよ。

 

山陽さんの工場見学で初めて目にした「原皮」、実はかなり衝撃的でした。

消費者である私たちは、靴や鞄などの製品となった革の状態しか見る機会がほとんどありません。原皮を見ることで、知ってはいたけれど、生き物の皮膚が革になるという事実を初めて認識したような気分でした。

 

タンナーの使命、命を蘇らせて「皮」を「革」へ

 

まず皆さんにも知っていただきたいことは、革の原皮は食肉の畜産副産物であるということです。

皮を鞣すために殺傷しているのではありません。

家畜を育て、そこから得られる食肉を食べる生活を続ける限り、原皮は産まれてくるのです。食肉をメインに考えると廃棄物とも思えるこの原皮をリサイクルすることがタンナーの方々の使命でもあります。

 

山陽さんではそのようなタンナーの仕事を

「皮」を「革」へ変える仕事、命を生かす、命を蘇らせる仕事であると仰っています。

タンナーが命を再び吹き込んだ革が我々消費者の手に届いていると思うと、革小物を手にするという行為もなんだか感慨深く感じます。

 

端材を利用した椅子

エコな活動に繋がる「革」

昨今、様々な革製品の中で「エコレザー」という言葉をよく見かけます。

革の取材をきっかけに革に興味が深まってきたところでエコレザーとはなんぞやと調べてみました。

エコレザーとは、
・天然皮革であること。
・排水、廃棄物処理が適正に管理された工場で製造された革であること。
・臭気、化学物質(ホルムアルデヒド・重金属・PCP・禁止アゾ染料・発がん性染料の使用制限)および染色摩擦堅ろう度に関する一定の基準を満たしていること。

(出典:日本エコレザー基準認定事業

なんだか少し難しいですが、環境に配慮して革をつくり、革に含まれる有害物質の有無を調べた革のことです。

エコレザーに認定されるには特別な基準があるようですが、実際に工場へお邪魔して見て聞いた体験を経てみなさんにお伝えしたいのは、「革」を作り使うことにまつわる全てはエコ活動なんじゃない?ということです。

不要になった原皮を素材として生かすタンナー

端材を余すところなく様々な目的のために使用する革工場

革製品を長く大切に使い続けるユーザー

すごく特別なことをしなくても、革を作ること、持つこと自体がエコな活動に繋がっているという考え方は、革製品を選ぶ理由の一つになるんではないでしょうか。

 

革について知見を深めていけばいくほど革製品っていいな、持ちたいな、と気持ちが高ぶってくるKDM人です。

私たちユーザーが手に取りやすい革製品はやはりカバン、靴、小物類ですね。安価で流行の形のカバンを買うのもいいけれど、定番の形で少し高価なカバンや靴を長く使うことも良いかも、と思う人もいらっしゃるのではないでしょうか。でもやっぱり、革と聞くと手入れが必要なんでしょ?難しいんでしょ?なんてことも思ったり。

そんな私も含めたユーザーの方々のために、次回は革のお手入れについて深掘りしていきます。そして工場見学からインタビューまでとてもお世話になった山陽さんの新しいブランドもご紹介しますのでお楽しみに。