今日は和紙に関するおはなし。
今回はいつもの品揃え悪かったり、置く場所わかりづらくてゴメン、というオチでは収拾しなかったのです。
編集会議での「和紙はお店で聞かれると困っちゃって」というライトな一言からはじまった企画ですが、長い冒険に出ることになったのです。
「和紙を見せて下さい」
私が勤務している企業はかつて、地域で一番大きな書店を運営していました。
15年程前の書店にはありとあらゆるお問い合わせが集まってきます。可能な限りお応えするをモットーにやってきましたが、それでもかなえられないことがたくさんありました。
その中の1つが和紙です。
当時は、おこたえできないとはいえきちんとお店に並べていましたし、専門メーカーさんとのお取引もあり、まだ何とかなっていました。和紙は京都に存在した「株式会社マツヤ」さん(牛丼じゃないよ)という企業様から仕入れていました。
これは取引に纏わる当時の伝票画像です。
毎月営業担当さんが、店舗へ売場整理と追加発注作業のサポートに来てくれていてたいそう賑わっていたコーナーだと記憶しています。
しかし、少しずつ問題が起き始めます。
- 商品の保管
- 品質の不理解
- 商品管理課題
- 廃盤
和紙というのは風合いや、表面の柄や色がとても重視されます。そして大きさは約500mm×700mmと非常に大きく竿にに10枚程度をふんわりと二つ折りでを引っかけて陳列していまいした。1枚だけを傷めないように取り出すのはなかなか難しくて紙は徐々に傷んでいきます。お客様の中にはうまく元の場所に戻せず他の売場に放置する方もいらっしゃいました。
この頃の和紙は、作品の素材(クラフトや書や灯り)またテーブルウェアとして使われていて、殊更傷んだ商品が嫌われるカテゴリーでした。お店の歴史が長くなるにつれ、商品は傷み売上げも減少していくという下降スパイラルです。廃棄が増え、ロス率の高いカテゴリーにいつしかなっていきました。
更に材料や工賃の高騰が進んでいた時代で、廃盤になるサイクルも早く安定した商品供給ができなくなっていきます。
最後の決定打は商品管理です。売れたら補充は小売店の鉄則ですが、紙本体に品番やカラー番号が印字されていないため、何がいくつ売れて、いくつ発注したら良いのか文具専任の担当者ですらコントロールできなくなっていました。
また、たくさんの種類を陳列していても紙の性質は殆ど誰も知らなかったのです。
その結果、販売コストと売上げの見合わないカテゴリーと(半分思い込みで)認識されていきます。
その結果和紙はどうなったのか?
2010年頃、新型の文具専門店を作る頃に和紙コーナーは圧縮されていき、和紙というカテゴリーはほぼ無くなってしまいます。そしてあるときから前述のマツヤさんは連絡が取れなくなってしまい、廃業したようだと噂が流れるようになりました。
結果、我々のお店では和紙は和柄がプリントされた千代紙しか残らず、大きなサイズの和紙は買えなくなってしまいました。
ところが、世の中を一覧してみると文具店以外に和紙を買えるお店がありません。
ホームセンター?ドラッグストア?百貨店?呉服店?雑貨店?結納屋?
どれも少しずれていて、今も文具店で扱うべき商品だという葛藤の中にあります。
けれども私達はもうマツヤさんと連絡を取ることができませんし、同じ系統のメーカーさんとお取引はあるものの保管方法や在庫管理手法が確立されていないため同じ轍をを踏むことになります。
たとえ文具店で扱えなかったとしても、いったいどこに行けばお客様へ和紙が提供できるのか。
文具専門店としておこたえすべく、「和紙とは何か、どうしたら手に入るのか」を調査することにしたのです。
続く