文房具とは、一見すると誰もが使ったことのある身近な道具です。 しかし、いざお店に立ち並ぶ一万幾ばくの商品を前にすると、「どう選べばよいか」「自分に必要なのはどれか」「何処にあるのか」がわからなくなる人も多いのではないでしょうか。
実はこの混乱は、「分類の視点」が不十分なまま売場や商品が構成されていることが原因であることも少なくありません。
文房具を“どう分けるか”──それは単なる見た目の話ではなく、 文具店がどれだけお客様のニーズや用途を理解しているかという本質につながる問題なのです。
一般的な分類は「表面的」なことも多い
多くの文具店やオンラインショップでは、文房具を以下のように分類しています。
- 筆記具(ボールペン、シャープペン、鉛筆)
- ノート・メモ
- ファイル・バインダー
- 収納・整理用品
- カッター・ハサミ・定規
- のり・テープ
- スタンプ・封筒
- など、、、
一見すると分かりやすい分類ですが、記憶の中の文房具をなぞっただけの商品カテゴリーラベルにすぎません。
例えば「のり」と一言で言っても、写真用、紙用、仮止め用など、用途は多岐に渡ります。 見た目では同じようでも、求められている“役割”はまったく違うのです。
私たちが重視する“文房具の分類”とは:機能の網羅こそが価値を生む
私たちが大切にしている分類の視点は、「お客様にとっての“役立つ機能”を網羅すること」です。
文具店は、ただ商品を並べるだけの場所ではありません。 「どんな困りごとに、どんな道具が役立つか」を提案できる、機能提案型の専門店であるべきだと考えています。
◎「役に立つこと」が、文具店の本質的価値
文房具店は、きれいな陳列やおしゃれな雰囲気があるだけでは成立しません。 最も大切なのは、お客様が「困っていたことが解決した」「求めていた使いやすい道具に出会えた」と実感できることです。
そのためには、まず文房具が持つ“すべての機能”を言語化し、体系的に整理する必要があります。
◎私たちの分類アプローチ(例)
私たちの現場では、以下のような観点で文房具の分類を行っています。
- 行動の目的からの分類 例:「記録する」「整理する」「伝える」「装飾する」「表示する」
- 使用環境からの分類 例:「デスクワーク」「慶弔」「持ち歩き」「イベント・販促」
- 機能特性からの分類 例:「一時的」「恒久的」「使い捨て」「補充可能」「共有向け」など
- 格式からの分類 例:「日用品」「贈答品」
このように、お客様の行動・目的・使用場面を軸にして分類することで、 売場やECサイトが“悩み別の提案カタログ”に変わっていきます。
分類は“売りやすさ”より“役立つ”ためにある
私たちは、文房具の分類を「効率よく商品を売るため」ではなく、「お客様に最適な道具を選んでもらうため」に行っています。
たとえば、「修正テープ」と「テープのり」は見た目が似ていますが、用途も機能もまったく異なります。 それを「テープ形状だから」という理由で同じ棚に並べるのではなく、 「何をしたい人が使う道具か」という視点で考えると、まったく別の売場が適しているかもしれません。
分類とは、「売る側の都合」ではなく「使う人の視点」で組み立てるべきものなのです。
まとめ:分類の質は、文具店の信頼そのもの
この記事でご紹介したように、文房具の分類はただの整理整頓ではなく、 お客様の目的に応じた提案力=信頼の証でもあります。
今後このオウンドメディアでは、私たちが長年培ってきた「文房具の機能分類」の考え方をベースに、 各カテゴリーや商品を、順に詳しく解説していきます。
次回は、「“書く”という行為は、実は一種類ではない」というテーマから、 筆記具の選び方の奥深さを探っていく予定です。
どうぞお楽しみに!