1.文字を書く──思考と言葉をつなぐ
- 学校でノートをとる。仕事で議事録を残す。
- 書くことで、自分の思考が言語化され、他者に伝えられるようになる。
- 日記を書くのは、自分の記憶や感情を形にするための行為でもある。
2.絵を描く──目に見えない世界を形にする
- 子どもが落書きするのも、画家がキャンバスに向かうのも、同じ「描く」
- 言葉では伝えきれないものを、線や色で表現する。
- 建築家が未来の建物をスケッチするように、描くことでイメージは現実に近づいていく。
3.思いを描く──まだ見ぬものに形を与える
- 頭の中の計画、夢、構想を「思い描く」ことも、立派な“かく”のかたち。
- マインドマップ、構想ノート、企画書──これらもまた、「思考の表現」。
- 書きながら考えが整理され、次の一歩が見えてくることも多い。
4.“かく”の目的は、実はバラバラでいい
“かく”という行為には、実にさまざまな目的があります。 ただの気分転換で描いた落書きも、重要な伝票を処理する筆記も、どちらも立派な“かく”。 そこには「伝える」「整理する」「楽しませる」「残す」「考える」「進める」など、目的や機能の違いが存在します。
シーン |
書く内容 |
主な目的 |
書く行為のタイプ |
文具の例 |
授業中 |
落書き |
気分転換・発散 |
無目的・自由型 |
シャープペン、余白ノート |
プライベート |
日記・感情のメモ |
内省・記録 |
記録・対話型 |
万年筆、日記帳 |
サードプレイス |
物語、ブログ |
表現・共有 |
創作・伝達型 |
原稿用紙、万年筆 |
仕事(企画) |
アイデア、構想 |
思考の整理 |
思考・構想型 |
スケッチ帳、フリーノート |
仕事(事務処理) |
チェックリスト、伝票 |
実務・業務遂行 |
作業・ルーチン型 |
ボールペン、伝票用紙 |
5.文具店の使命:「かく」のシーンに寄り添う
文具店の大きな仕事は、この“かく”という行為に対して、単なる商品を売るのではなく、シーンや目的に合わせた“かく”の提案をすることにあります。 例えば――
- 自由に描けるノートは、創造的な発散の場をつくる。
- 滑らかな万年筆は、感情を素直に書き出す時間を心地よくする。
- 機能的な事務用ペンは、日々の業務をミスなく快適に効率化するサポーターとなる。
“かく”という行為を、もっと自由に、もっと楽しく。 そのサポートができる文房具の提案こそが、文具店の本質的な価値だと私たちは考えます。
結び:「“かく”は、より良く生きるための行為」
文字を書く。絵を描く。思いを描く。 それは、なくても生きていけるかもしれない。 でも、“かく”ことで私たちは思考を整理し、感情に気づき、人とつながることができる。
文房具もまた、そんな“かく”を支える存在です。 パソコンやスマートフォンが主役となった今でも、あえて手で書くという選択肢は「彩りや奥行き」なのです。
文房具は、嗜好品だと私たちは考えます。 なくても生きられるけれど、あると日々がほんの少し豊かになる。 “かく”という行為を、もっと自由に、もっと楽しく。 そんな時間を提案できる場所でありたい──それが、文具店の願いです。
次は「かく」を更に分類していきます。