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「エルゴノミクスデザイン」という視点で選ぶ、お勧めの筆記具

ロングセラーの定番文具を愛用するのも素敵ですが、たまにはちょっと気分を変えて「エルゴノミクスデザイン」にも目を向けてみませんか。

日々のデスクワークで、目が疲れたり、肩こりや腰痛に悩まされたり、ストレスを感じている方も少なくないと思います。作業環境にご自身のカラダの方を合わせて無理に働き続けると、疲労は溜まっていく一方です。

人の特性に寄り添い、人間工学に基づいたエルゴノミクスデザインのデスクやチェアなどをできるだけ選ぶようにしたいものですね。もちろん、文具の世界にもエルゴノミクスデザインはたくさんあります。今回はその入門アイテムとして、3つの筆記具をご紹介しましょう。

絶妙なくぼみや独特の形状で、握りやすさを追求

その昔、不覚にも交通事故に遭い、手術後の数週間を病院の一室で過ごすことがありました。じっくり休んでいられればよかったのですが、抱えた仕事を放り出せないのがフリーランス・エディターのツラいところ(苦笑)。

足を骨折してしまったため容易には起き上がれず、企画のアイデアを思いつくと、枕元やサイドチェストに置いたノート、メモ帳などを手に取って書き留めていました。

そんな時に、めちゃめちゃ役に立ったのが「Handy Birdy(ハンディ・バーディ)」というボールペンでした。

この奇妙奇天烈なフォルムは、握力が弱くなった人のことを考えて作られたものだとか。確かに握ると掌にすっぽりと収まり、指先の少ない力で快適な書き心地を味わえます。

ベッドの上で寝返りも打てず、左手で支えたメモ帳に何かをしたためたい場合、軸の長いペンだと持て余しちゃいますが、Handy Birdyはとてもコンパクト。綺麗な字は書けないものの、サラサラとメモを取る分には取り回しが容易く大変重宝しました。

ただ、この稿を書くにあたり、あらためてさまざまなWebサイトでこの製品のレビューを拝見してみたのですが、結構「使いづらい」「書きにくい」などと酷評されていて、なにやらとても残念な気持ちになりました。

確かに、ごく普通に机の上で書き味を確かめると、とても使い勝手がいいとはいえません。机上に手首を置いて固定した状態なら、よっぽど普通のペンの方が使いやすいです。

しかしながら、筆者が経験したように、寝っ転がった不安定な姿勢で文字を書いたり、手首が固定できない状態で壁のカレンダーにメモを書き加えたりする時には抜群に便利な筆記用具。事故の影響からか、腕に力が入らなかった身にとっては、とてもありがたいアイテムだったことを書き添えておきます。

ちなみにパッケージには「Universal Pen」と表示されていました。ユニバーサルデザインの定義は、年齢や性別、障害の有無にかかわらず、誰もが使えるモノ。

厳密にいうと、人間工学に基づいたエルゴノミクスデザインとは似て非なるものですが、より多くの人々に受け入れられ、誰にとっても使いやすいという点で、モノづくりの哲学は一致します。ご興味のある方は、「ユニバーサルデザインの文房具とは?」も併せてお読みください。

指にフィットする質感と程よい太さが秀逸

以前、「知らず知らず使っていませんか? 手紙の文字のタブー色」でチラッとご紹介したドイツ・スタビロ社の水性ボールペン「バイオニックワーカー」も、個人的には優れた1本だと思います。

あまりにも滑らかな書き心地で、紙の上を流れるように走らせることができるこのペンは、巷のビジネスマンを中心に絶大な人気を得ているもよう。もう10年近く愛用している筆者としては「そうでしょ、そうでしょ」と鼻高々です(笑)。

しっとりとしたノンスリップな素材感と、ぽってり膨らんだボディ形状も、人間工学に基づいたデザイン。それほど力を込めずともサラッと書けるので、とにかく疲れません。過去の記事にもしたためたように、印刷物の校正作業やちょっとしたご挨拶状を書く際にとても重宝しています。

また、バイオニックワーカーは、非営利団体SOFEAのランク評価で、優秀レベルのランクBを獲得しているエコな製品。最新の技術や素材選びによって環境汚染を最小限に抑えるなど、地球環境への配慮にも意を注いでいます。

色鉛筆のエルゴノミクスデザイン

同じくドイツの著名な文具ブランドであるステッドラーの色鉛筆「エルゴソフト」も、指に吸い付くようにフィットするという面で、甲乙付け難いものがあります。

パッと見は、コロコロとしたやや太めの色鉛筆。ステッドラー独自のソフトな表面加工と、やはりこちらも人間工学に基づいた三角形状によって、握った時にしっかりと指先にフィットします。

書き味もソフトで、強く書けば濃く、優しく滑らせればふんわりと、色のグラデーションをイメージ通りに描き分けることができます。ABS(芯折れ防止)加工が施されている点もうれしいところ。写真のようにケースの蓋部分を折り返せば、即席のスタンドができあがります。

ステッドラーでは、同じエルゴソフトシリーズで「アクェレル」という名の水彩色鉛筆をラインナップしていて、絵を描いたあとに水を含ませた筆でなぞると、水彩画のような表現ができる筆記具もあります。

旅先で出合った美しい風景を色鉛筆でスケッチしておけば、おうちに帰ってから絵筆を使って水彩画に仕立てるなんて使い方もできますよ。

 

アンテナを張って気をつけて見ていると、わりとそこかしこに見つけることができるエルゴノミクスデザイン。使い続けるうちに、意外と手放せなくなってしまうから不思議なものですね。

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