鉛筆の主流はHBから2Bへと変化している
鉛筆はBやHといったように、芯の硬さや濃さによって種類が分けられているのは、みなさんもご存じのとおり。その種類は9Hから6Bまでと幅広く、17もの種類が存在している。
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一般的にはBやHB、Hあたりが、よく見かけるもの……と、そう思っていたのだが、冒頭でも少しふれたとおり、最近の小学校の多くは、2Bを使うことが推奨されているらしい。
その理由は、子どもの筆圧が弱いから。
特に低学年の子どもは鉛筆の持ち方が安定しないため、はっきりとした文字が書けるように、濃い鉛筆を使っているんだそう。消しやすさもポイントだという。硬い芯で書いた文字は消しゴムを使う際に力が入ってしまい、紙を破ってしまう子も少なくない(筆者も覚えがある…)。それを防ぐことも含め、芯がそこまで硬くなく、濃いめの2Bが推奨されているそうだ。
ちなみに、筆圧低下の原因のひとつに握力の低下がある。余談になるが、先日雑巾を絞れない子どもがいるという話を聞いた。こちらも衝撃的な話だったんだが、これも握力のなさに関係しているのかもしれない…。
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鉛筆はなぜ六角形なのか
鉛筆の多くは六角形のデザイン。これはデスクの上に置いたときに転がらないようにするためなのだが、持ちやすさにも関係がある。鉛筆は通常、親指、人差し指、中指の3本の指を使って持つもの。そのため3の倍数の面があるとフィットしやすい。
この理由からすると、三角形でもいいのでは?と考える人もいると思うが、もちろん、三角形の鉛筆もちゃんと存在する。ただ、鉛筆は使っていると、紙にふれている部分の芯がどんどん減っていくため、芯の減りが均等になるよう、ときどきくるっと回転する必要がある。この動きが三角形ではスムーズにいかないため、六角形のデザインが選ばれているのだ。
3の倍数なら九角形なども考えられるが、面が増えると持ちにくく、デザインも丸に近くなり転がりやすくなってしまう。というわけで、鉛筆は六角形のデザインがベストと判断され、各メーカーに採用されているのである。
そういえば、色鉛筆のデザインは六角形ではなく丸。これは絵を描くためにいろいろな持ち方をするため、柔軟に対応できるようにというのがその理由なんだそう。
また、色鉛筆は鉛筆に比べて芯が太く強度が弱いため、丸状にすることで芯を折れにくくしているとか。鉛筆って奥が深い!
鉛筆はエコなのか、エコじゃないのか
鉛筆は木からできているのでエコじゃない、と思っている人もいるかもしれないが、実はそうではない。鉛筆は使い続ければ、かなり長い期間使える。分かりやすく例えると、鉛筆1本で書ける距離は、なんと約50km!油性ボールペン1本で書ける距離は、1.3kmほどなので、その差は歴然。
さらに鉛筆はお財布にも優しい。高級鉛筆を購入したとしても1本170円ほどなので、シャープペンやボールペンと比較すると圧倒的にリーズナブルだ。こうしてみると、超コスパ文具ともいえる。
エコ鉛筆なるものもある。具体的には、デンマーク発の「Sprout Pencil(スプラウト鉛筆)」という商品なのだが、なんと、短くなった鉛筆を土に植えると植物が育てられるユニークな鉛筆。
鉛筆の先端部に植物の種が入ったカプセルがついており、使い終わったらこの部分を土に植えると、カプセルが水に溶けて種が出てくるという仕組みになっている。種はバジル、唐辛子、ひまわりと野菜から花までバリエーション豊か。
日本ではまだまだ取り扱っているお店は少ないが、「使い終わったら捨てる」ではなく、「使い終わったら植える」という発想がたまらなくステキでエコだと思う。
ほかにも、以前赤青鉛筆の記事でご紹介したトンボ鉛筆の「木物語」シリーズは、廃材となっていた木材を再利用しており、エコマークを認定している。こうしてみると、鉛筆もエコ化が進んでいるといえるだろう。
昔からずっと愛されている鉛筆だけど、意外と知らないことも多いと実感。鉛筆に限らず、普段何気なく使っているモノを深堀すれば、実は新しい発見があるかもしれない。
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