ただ、友人が「2B」の鉛筆を使っていたため、書きはじめの字のあまりの濃さや書いた字がノートに写ってしまうことに、鉛筆を借りている立場でありながらも「2Bって書きにくいなぁ…」と、思っていたものでした。(ごめんなさい)
「Bの前の文字が『H』から『2』に変わっただけで、どうしてこうも書きやすさが違うのだろう」と、子どもながらに疑問に思っていましたが、改めて考えてみると鉛筆のアルファベットや数字が何を意味しているのか、ちゃんと知らなかったりしますよね。そこで、今回は鉛筆の濃さや数字やアルファベットの謎についてご紹介します。
鉛筆の濃さについて
現在、鉛筆の濃さはJIS(日本工業規格)の場合、以下の17段階に規定されています。芯が軟らかく濃い方から順に……
6B→ 5B→ 4B→ 3B→ 2B→ B→ HB→ F→ H→ 2H→ 3H→ 4H→ 5H→ 6H→ 7H→ 8H→ 9H
鉛筆に表記されているアルファベットも、字の濃さに関わってきます。ただし濃さというより、芯の硬さ(硬度)を表しています。
硬さのアルファベットの意味は、こちら。
- H → Hard(硬い):細くシャープな線が書ける
- B → Black(黒い):太く黒色が強調された線が書ける
- F → Firm(しっかり引き締まった):HとB の真ん中の強さ
「H」はHard(硬い)「B」はBlack(黒い)から来ています。
Bの前の数字が大きいほど、芯が軟らかくなり濃い黒に。反対にHの前の数字が大きいほど、芯は硬く薄くなります。
余談ですが、「HB」は「H」と「B」の間の濃さで、「H」と「B」の間の濃さはないかという要望があり、追加されました。その後、さらに「HB」と「H」の間の濃さを求める要望があり、「F」が作られました。
それぞれの鉛筆の適した使い方
Bは軟らかくて太く、Hは硬くて細いという特長があり、もちろん筆跡も変わります。それでは、どの場面でどんな鉛筆を使うのがよいのでしょうか?
一般事務・学校
一般事務や学校の授業で使われる鉛筆は、HBやF、Hが主流。HP以上の軟らかさの鉛筆はマークシート方式の試験にも使用が決められています。
一方、幼稚園生や小学生・中学生は一般的にBや2Bの鉛筆の使用を指定されているところが多いです。これは筆圧の弱い子どもでも、すんなり字を書くことができるように、文字の輪郭もはっきり見えるぐらいの濃さの鉛筆が望ましいということです。
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ちなみに、私が子どもだった頃は、HBの鉛筆を使う人が多かったのですが、スマホやゲーム機などの普及で指に力を入れる経験が少なくなり、子どもの筆圧が弱くなってきたことから、Bか2Bの鉛筆を指定する学校が増えているそうです。
製図用
2H~6Hの鉛筆は一般の製図用に、精密製図用になると7H~8Hが使われます。建築士などの職業に就いてる人が下絵を描くために使うため、薄く細かいラインが描ける鉛筆が適しているためです。
デッサン
美術関連の職業に就いている人や大学で美術を学んでいる人に愛用されているのは、主に3B~6Bの鉛筆を使います。これは軟らかい芯の方が、絵に色々と変化をつけやすいからです。もちろん、濃い鉛筆だけではなく薄い鉛筆も使って描くと表情豊かな絵が描けます。
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