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繊細でやさしいシルエットは芸術品!ガラスペンの魅力とは?

手に持つとすべすべした丸みのある感触で、やさしくカラフルに透き通ったボディ。実用的である筆記具に、アート作品のようなデザイン性を備えた「ガラスペン」は、日本が世界に誇る発明品のひとつだった!?

ボトルインクもオシャレ!進化したガラスペン文化

どんなにパソコン文化が浸透していようが、文章を生業とするためか、筆記具にはついつい目を惹かれてしまう。

以前、筆ペンの魅力についてふれたこともあるが、他にも万年筆、ボールペン、シャープペン、色鉛筆、大人の鉛筆などなど、書く機能をもつ「モノ」に対する興味は尽きない。

書き心地や便利さはもちろん、見た目のデザイン性にも、何故かこだわってしまい、1本千円以上するボールペンやシャープペンを購入し、今でも大切に使っている。

(ウイスキー樽の廃材を再利用したモノで、アンティーク調のウッドなボディ、やや太めなデザインが、手の大きい自分にフィットして、触り心地も書き心地も抜群!)

そんな中で、最近、中学校の美術部に入っている娘が、「ガラスペン」にハマっている姿を見かけた。色とりどりのボトルインクを、「これはどんな色かな? こっちは?」と、試し書きしながら楽しんでいた。

ウサギ、ペンギン、象、ダチョウ、キツネ、フクロウ、ワニ等々、動物の絵が描かれている小さなボトルが12個、コレクションケースのような箱に、キレイに並んでいる。

以前から、この箱があることは知っていたが、一体何のボトルなのかと不思議に思っていた。それが、ガラスペン専用のボトルインクだったとは! 

自分自身も1本持っているのだが、インクは普通のボトルで黒のみ。それが当たり前だと思っていたので、インクの瓶がオシャレなこと、こんなにいろいろな色のガラスペン専用インクがあることは思いもよらず。

ブラックやブルー、レッドから、ラメ入りゴールドなどの特別な色まで実に多彩。娘が持っていたのは、たまたまこのボトルインクだったが、メーカーや商品の違いによって、ボトルのデザインも色も様々。

そんな多彩なインクがあることで、カラーペンのような使うことができ、文字を書いたり、絵を描いたりと楽しみは広がっている。

ガラス独特の滑らかな書き心地。実は「日本生まれ」のガラスペン

ひさしぶりに見て、あらためてガラスペンに興味を惹かれ、実際に書いてみることに。

インクの瓶のふたを開けて、ペン先をインクに触れる程度に浸す。万年筆の場合は吸入器によって本体内にインクを吸い上げるのだが、ガラスペンはつけペンで、本体内に吸い上げることはない。

ガラス側面の溝に入り込んだインクが、毛細管現象を利用して少しずつ流れ出す仕組みになっている。ペン先もガラスなので、書き心地はソフトで、さらさらと滑らかな線を描ける。

ガラスペンのもうひとつの特徴は、インク持ちがよく、普通のつけペンよりもたくさんの文字が書けるということ。モノによって多少は異なるが、ハガキ1枚はもとより、原稿用紙1枚分でもかすれることなく書ききれるモノが多いというから、非常に便利だ。

いろいろ調べてみると、このガラスペン、実は日本生まれだという。

今から120年程前、1902年に風鈴職人の佐々木定次郎氏が考案したものだと言われているようだ。なるほど、アート作品のようなガラス独特の美しいシルエットは、風鈴職人の手によるものだったんだと納得。

その後、美しいデザイン性に、手に持った時の質感の良さや先述の書き心地のよさも手伝って、瞬く間に世界へ広まっていったのだ。

美しさと実用性を兼ね備えたガラスペンと、オシャレで多彩なボトルインクは、ちょっと気が利いたプレゼントしてもぴったり! 

パソコンやスマホが当たり前の時代になり、筆記具を使って、実際に自分の手で文字を書く機会は少なくなっている。また、巷では昭和時代を思い起こさせるニューレトロなデザインの文房具も流行っているそう。

そんな今だからこそ、自筆で手紙やハガキを書く、日記を書く、文字や絵を描いて遊ぶなど、アナログな筆記具を日常使いしてみるのもおもしろいのではないだろうか?